デジタルカメラはレンズを通してイメージセンサーに届いた光を電気信号に変換することでデータにする。
イメージセンサーの高解像度化は進むが果たして、センサー強化によって写実的な、精緻な描写ができるのか。
そもそもセンサーに届く光は、複数枚のガラス(カメラレンズ)を透過した光である。
通常のガラスであれば、表面反射で約4%の光が省かれる。レンズ一本で光の透過率は半分にまで落ちる。
そこで私はカメラにレンズを装着せずシャッターを下ろす試みをした。
直接センサーに届く光だけで撮られた写真は、濾過されていない純度100%の光を捉える。
本来のカメラの使い方では現像されない、神秘的で羽衣のような美しい残像を映し出す。
レンズを付けないことで認知できる世界とするならば、
意図せず装着しているメガネを外すことで捉えられる世界もあるのではないだろうか。